公認会計士、「就職浪人」1,000人超

公認会計士試験に合格したのに就職できない「就職浪人」が、合格者の半数に当たる過去最大の1,000人超に達する可能性が出てきた。企業の四半期決算などへの対応が一巡したことに加え、上場企業数の減少を受けて監査法人が採用者数を絞り込んでいるためだ。こうした事態を受け、金融庁も会計士制度の見直しに動き出している。
(日本経済新聞2010年11月16日4面)

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血のにじむような努力の末、漸く手にした合格証書。それなのに就職先がないとは。その心中を想うと胸が痛くなります。また、先輩として大変申し訳なく思います。

合格者の半数が就職できないという信じられないような事態に陥っている原因は、上場企業数の減少、監査報酬の低さ、役所の見通しの甘さ、新陳代謝の乏しい業界の体質等々、いくつも指摘することは可能です。

ですが、いまそれを言っても仕方がないでしょう。
役所に切にお願いしたいのは、合格者全員に公認会計士になる正当な機会を与えてあげて欲しいということ。

たまたま就職できた人は会計士になれて、そうでない人は会計士になれないというのではあまりに不公平です。

公認会計士となるためには、現行法上、業務補助等の期間が2年以上必要です。

業務補助等とは次のようなものです。

「(1)業務補助(監査証明業務について公認会計士又は監査法人を補助)

業務補助は、1年につき2以上の法人(当該法人が金融商品取引法に規定する上場会社等や会社法に規定する大会社など、公認会計士又は監査法人の監査を受けることとなっている場合には1社以上)の監査証明業務を対象として行わなければなりません。なお、業務補助については、常勤、非常勤を問いません。

(2)実務従事(財務に関する監査、分析その他の実務に従事)

実務従事は、公認会計士の中核的業務である監査と類似した以下の業務が対象となります。

◯法令で定められた民間企業の業務
●資本金額5億円以上の法人において、原価計算その他の財務分析に関する事務

一般企業(業種は問いません。)の財務部・経理部等で財務分析の仕事に従事(単純な経理事務や記帳業務等は不可)等

●銀行や信託会社等において、貸付け、債務の保証その他これらに準ずる資金の運用に関する事務

◯法令で定められた公的機関の業務

●国又は地方公共団体の機関において、国若しくは地方公共団体の機関又は資本金額5億円以上の法人の会計に関する検査若しくは監査又は国税に関する調査若しくは検査の事務」

「公認会計士Q&A」金融庁

監査法人は大手も含めてどこも非常に厳しい状況にあります。
役所がいくら受け入れを要求してもそれは不可能です。
また民間企業も公的機関も会計士試験合格者を積極的に受け入れる状況にありません。

他方で業務補助の内容はあまりに形式的でこの程度の経験があったからといってどうということはありません。

いっそのこと業務補助等の経験という要件はなくしてしまい、その分何らか実務補修で補うことにするのはどうでしょう。
そうすれば少なくとも今回の合格者は実務補修を終了すれば公認会計士となることができます。

関係機関には心から英断をお願いしたいところです。

【リンク】

「公認会計士Q&A」金融庁