リーマン・ブラザーズによる不正会計事件でNY州E&Yを提訴

2008年秋に経営破綻した米証券大手リーマン・ブラザーズを巡る責任追及が、会計事務所にも及んできた。米ニューヨーク州のクオモ司法長官は21日、リーマンによる不正な会計操作に関与したとして、会計事務所アーンスト・ヤング(E&Y)を提訴。
(日本経済新聞2010年12月24日7面)

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「焦点となっているのはリーマンが2001年から活用していた「レポ105」と呼ぶ短期取引。他の金融機関に担保として渡した債券を会計上売却したとみなして処理し、借り入れた資金で負債を返済する。こうした不正な会計処理で一時的に500億ドルをバランスシートから外し負債を過少に見せかけた疑いがもたれている」(前掲紙)

レポ取引は資金調達の手段または利回りを高める機能として利用されています。

レポ取引は、法的所有権が移転する買戻契約と法的所有権が移転しないキャリー(典型的に、伝統的なレポと呼ばれることもある短期のレポ)に区別されることもあります(監査法人トーマツ監訳「国際財務報告基準詳説 金融商品編 第1編」 LexisNexis)。

IAS第39号AG40項は、買戻価格が固定価格または売却価格に貸手のリターンを加算した価格である場合の買戻条件付売却を認識の中止(つまり売却)としては認められないと規定しています(前掲書)。

この点についてUS-GAAPも大きく相違しないと思われるので、リーマンのケースではレポ105は買戻条件付売却ではないとの理論構成をしたものと思われます(連邦裁判所の調査報告書を読んでいないのであくまで推測です)。

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