日米配当性向比較

問われる横並び 成長に応じた配当がカギ

「日本企業は金太郎あめだなあ」。6月下旬、企業の配当政策をテーマにしたセミナーで、日米主要500社の配当性向の分布を見たある機関投資家は、思わずこう漏らした。
配当性向は純利益からどれくらい配当に回したかを示す指標。日本の上場企業の配当性向は2007年度で約30%と、欧米主要企業の4割前後に比べ見劣りする。だが、集計値から個別企業へ視点を移すと、意外な実態が浮かび上がる。みずほ証券が日本のTOPIX500と米国のS&P500の各採用企業について、2007年の配当性向を調べたところ、日本企業は約2割が15−20%に集中し、6割以上が10−30%の範囲に収まった。
これに対して、米国は分布がばらついているのが特徴だ。最も多いのが無配で19%を占める。インターネット検索最大手で急成長を遂げてきたグーグルは上場以来、無配が続く。逆に配当性向100%超、つまり利益を上回る配当をする企業が4%ある。

(日本経済新聞 2008年7月12日 15面 株主配分を考える 下)

【CFOならこう読む】


図からも米国は分布がばらついていることがよくわかります。米国の場合上場企業全体でみると、8割が無配であるということです。

資本コストを上回る投資機会があるなら、配当などせず資金を投資に向けるべきであるという考え方が広く浸透しているのです。一方、資本コストを上回る投資機会がないのであれば、余剰資金は配当や自己株取得で株主に還元し、株主はそのお金を資金需要のある別の会社に投資することによりキャピタルゲインを狙うのです。こうやっても希少な資源である”カネ”が社会全体で見ると効率的に分配・運用されることになるのです。
株主重視の経営とはこういうことです。

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