取得条項付新株予約権を用いた転換社債−プロミス600億円発行

プロミス、CB最大600億円発行

プロミスは8日、ユーロ市場で新株予約権付転換社債(CB)を最大で 600億円発行すると発表した。昨年9月に三洋信販をTOBしたのに際して三井住友銀行から調達した短期借入金(残高で800億円)の返済などに充てる。発行日は24日で年限は7年。CB発行は1996年2月以来12年ぶり。
(日本経済新聞 2008年7月9日 17面)

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額面現金決裁条項付きのCBは6月19日に武富士が発行したばかりです。これは、株価が転換価額を上回った場合に、額面金額相当額の金銭に加え、市場株価と額面金額相当額との差額に相当する価値の株式を受け取ることができるというものです。

通常のCBは額面相当の新株を交付するのに対し、このCBは市場株価が額面を超える部分に相当する新株しか発行されないので、希薄化の抑制が可能です。

さらに、次のように株価が転換価額の一定水準を一定期間上回らない限り、新株予約権の行使ができない転換制限条項が入っています。

「当社が今回採用した額面現金決済条項では、
i) 発行3 年後以降約6 年9 ヶ月までにおいては、当社株式の終値が20 連続取引日にわたり、各当該取引日に有効な転換価額の130%以上であった場合、
ii) 発行約6 年9 ヶ月後以降は当社普通株式の終値に関わらず、
当社は、自己の裁量により、一定期間(取得日の45 日以上前60 日以内)の事前通知を行ったうえで、各本新株予約権付社債の全部(一部は不可)につき(a)額面金額の100%に相当する金額及び(b)転換価値(以下に定義する。)から本社債の額面金額相当額を差し引いた額(正の数値である場合に限る。)を1 株当たり平均VWAP(以下に定義する。)で除して得られる数の当社普通株式(株式数は、下記の計算式で算出される。)を交付財産として、残存する本新株予約権付社債の全部を取得することができます。
・転換価値:(額面金額÷最終日転換価額)×1 株当たり平均VWAP
・最終日転換価額:1 株当たり平均VWAP の計算期間の最終日の転換価額
・1 株当たり平均VWAP:当社が取得通知をした日の翌日から5 取引日目の日に始まる20 連続取引日に含まれる各取引日において株式会社東京証券取引所が発表する当社普通株式の売買高加重平均価格の平均値
これにより従来の転換社債と同様の経済的効果をもたらしつつ、株価の上昇時においても大幅な希薄化の抑制が可能となります。」(プレスリリースより)

さらにプロミスのCBには、次のような社債権者に繰上償還請求権が付与されている点が特徴的といえます。

「5 年後に社債権者の選択による額面の105%での繰上償還請求権を付与することにより、クーポンを付与せずに、比較的長期間の7 年満期で、かつ最終満期時の償還額は額面の100%という設計になっております。」
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(図1)額面現金決済条項付ヨーロピアン行使型新株予約権付社債(ECoNeSS CB)と株価水準のイメージ
(プレスリリースより)

なお会計上の論点については、当ブログ5月24日の武富士CBの記事を御覧下さい。

https://cfonews.exblog.jp/7997778/

【リンク】

平成20年7月8日「2015 年満期ユーロ円建取得条項(額面現金決済型)付転換社債型新株予約権付社債の発行に関するお知らせ」会社名プロミス株式会社
http://www.promise.co.jp/news/datas/sikin_20080708_1.pdf