株式持合いの堅守崩れず

460社が株主総会 Jパワー、ファンドの増配提案を否決

上場企業約460社が26日、全国で一斉に定時株主総会を開いた。約1300社が開催するピークの27日に次ぐ規模。英投資ファンドが増配などを求めているJパワー(電源開発)や、米投資ファンドが社長再任に反対した日本興亜損害保険など、外国人株主の提案の動向が焦点となっている。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080626NTE2INK0626062008.html

【CFOならこう読む】

Jパワーについては、誰もが予想したとおりの結果に終わりました。
それでも、3人以上の社外取締役を導入すべきという議案に4割弱もの賛成票が集まったことには時代の変化を感じます(TCIの保有比率は9.9%)。

国内外の機関投資家に議決権行使の助言をする最大手、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)日本法人のマーク・ゴールドスタイン代表は、現経営陣の役員再任案に賛成する一方、社外取締役の選任義務化には賛成した理由を次のように述べています。
http://markets.nikkei.co.jp/features/03.aspx?site=MARKET&genre=x3&id=MMMAx3000025062008

「TCIは中垣喜彦社長の解任を求めていますが、ISSは取締役の再任案への賛成を助言しました。社外取締役がおらず株式の持ち合いが増えているなどマイナス要因がありますが、赤字ではなく、反対するほどひどいとはいえませんでした。取締役の代替案がTCIから示されなかったのも理由です。ただ、TCIが提案した社外取締役の選任義務化に対し賛成したことで、メッセージは伝えられたかと思います。TCIは現在、委任状争奪戦を行っている米貨物鉄道大手のCSXに対しては代替の取締役を5人推薦しており、株主には選択肢があります。TCIは日本でも取締役候補者を推薦するつもりだったようですが、Jパワーに拒否されました。

Jパワーではあらゆる議案で判断にとても苦労しました。両社の代表と会い、大量の資料を読み、時間をかけて結論に至りました。(ISS競合の)グラス・ルイスと助言内容が分かれたようですが、それほど判断は難しいものでした。」

外資のプレッシャーを受けつつ、日本企業もゆっくりと変わろうとしているのです。
そしてそのはじめの一歩が、社外取締役の選任義務化なのかもしれません。

【リンク】

平成20年6月26日「第56回定期株主総会決議のご通知」電源開発株式会社
http://www.jpower.co.jp/annual_rep/pdf/ketsugi56j.pdf