日立キャピタル、リース会計基準変更に伴う特別利益一括計上

日立キャピ、純利益34%増 リース会計基準変更 特別利益を一括計上

日立キャピタルは28日、2009年3月期の連結純利益が前期比34%増の144億円になりそうだと発表した。従来予想は135億円だった。4月から新しいリース会計基準が適用されたのに伴い、前期末までに流動化したリース債権の未実現利益を、今期に特別利益として一括計上することになった。
(日本経済新聞 2008年5月29日 16面)

【CFOならこう読む】

日立キャピタルは、プレスリリースで本件を以下のように説明しています。

「当社は、リース債権の流動化を財務の1つの手段として活用しております。これは将来の受取リース料を現金化するものであり、会計上は損益の発生しない取引としておりました。しかしながら、「金融商品会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第14 号)」の改正により、流動化しているリース債権は過去に遡及して売買処理として取扱うこととなり、本年3月31 日までに既に流動化していたリース債権の未実現利益を今年度に一括して損益計上することと致しました。なお、このリース債権の流動化処理の変更により特別利益243 億円を計上する予定であります。」

これは、この4月から適用になった新しいリース会計基準が、所有権移転外ファイナンスリースについても原則通常の売買取引に準じた方法によることを定めており、また、適用指針16号が「リース取引開始日が会計基準適用初年度開始前のリース取引についても、リース会計基準及び本適用指針に定める方法により会計処理を行い、変更による影響額を特別損益として処理すること」としていることに伴うものと思われます。

なお、改正「金融商品会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第14 号)」18項は、リース取引について次のように規定しています。

「リース取引は、企業会計基準委員会企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」(以下「リース会計基準」という。)に従って処理されるため、金融商品会計基準の適用外である。ただし、リース取引により認識されたリース債権及びリース投資資産のうち将来のリース料を収受する権利に係る部分(リース会計基準第41項)又はリース債務は、金融資産又は金融負債として、その消滅の認識や貸倒見積高の算定等につき金融商品会計基準に従って処理する。また、リース取引に組み込まれたデリバティブには金融商品会計基準が適用される。」

日立キャピタルの「将来のリース料を収受する権利」の流動化が、金融商品会計基準の消滅の認識の要件を満たすことから、売買処理されたということです。

【リンク】

平成20年5月28日「特別損益の計上および業績予想の修正に関するお知らせ」日立キャピタル株式会社
http://www.hitachi-capital.co.jp/hcc/ir/pdf/080528_1.pdf