IFRS化と税との調整

日本の会計基準とIFRSの共通化で、研究開発費の扱いが焦点になっている。全額を費用計上する日本に対して、IFRSは開発費の一部を資産計上にする点に違いがある。
(日本経済新聞2011年2月3日15面 IFRSと日本 論点を聞く2 谷口新日本製鉄副社長)

【CFOならこう読む】

「−単独決算については、企業から税法や会社法との調整を求める声が上がっている。
「IFRSは主に連結決算が対象。国際的な流れに合わせる必要性は理解するが、企業経営にとっては単独は重要だ。税と会計が離れれば、2重計算が生じ、非効率な側面が出てくる可能性がある」」
(前掲紙)

本来税務計算を企業会計に基づき行う必然性はありません。例えば米国では両者は分離しており、税務計算上の課税所得は企業利益とは独立して計算されます。

先日お話ししたマーリーズ・レビュー(2011年1月11日エントリー「マーリーズ・レビュー」)が提唱しているACEと呼ばれる課税システムは株主資本コストも損金に落とす方式で、会計とは全く別の方向を向いていると言えます。日本でも今後会計と税法が分離して行くのは必然であると思われます。

その上で会計が単独と連結で相違することになれば、企業は3重計算を強いられることになります。負担を小さくするためには、日本の会計基準そのものを極力IFRSとコンバージェンスすることが必要であろうと思います。

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