3メガ銀、法人減税が年度内成立なら600~900億円の減益に
3日までに3メガ銀行グループが発表した2010年4~12月期決算は、4~9月期までに債券売買などで利益を押し上げた流れを引き継ぎ、連結純利益が前年同期比2倍以上となる好決算だった。ただ2011年3月期の通期業績に向けては、関連ノンバンクの先行き懸念が残っているのに加え、年度内に2011年度の税制改正が成立すれば法人税減税に伴う損失計上が必要になる可能性があり、不透明要因が残っている。
(日経ヴェリタス2011年2月6日17面)
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「政府が2011年度税制改正で予定している法人税率の引き下げが実現すれば、将来の税金軽減効果を見込んで積んでいる「繰延税金資産」を税率引き下げ分だけ取り崩す必要が生じるためだ。関連法案が3月末までに成立すれば、損金算入の上限見直しといった全体的な法人税制改正の影響を合わせて、三井住友で700億円~800億円台、三菱UFJで900億円程度の減益要因となる。みずほも600億円~900億円の減益になりそうだ」(前掲紙)
繰延税金資産とは、会計上費用処理しているが、税務計算上損金処理されていない項目について、税務上損金算入された時点で実現する節税効果を資産計上したものです。例えば三井住友フィナンシャルグループの2010年3月期における繰延税金資産の内訳は次のようになっています。
繰延税金資産
税務上の繰越欠損金 | 485,533百万円 |
有価証券償却 | 282,386百万円 |
貸倒引当金 | 438,537百万円 |
貸出金償却 | 140,597百万円 |
その他有価証券評価差額金 | 20,707百万円 |
退職給付引当金 | 74,489百万円 |
繰延ヘッジ損益 | 27,290百万円 |
減価償却費 | 12,392百万円 |
その他 | 245,743百万円 |
繰延税金資産小計 | 1,727,678百万円 |
評価性引当額 | △739,555百万円 |
繰延税金資産合計 | 988,123百万円 |
繰延税金資産は、従来、法定実効税率40%で計算されていたのが、税制改正により5%引き下げられた35%で計算されることになるので、一時的な減益要因になるわけです。
参考
税効果会計に係る会計基準 第二.二.繰延税金資産及び繰延税金負債等の計上方法
2.繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払いが行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとする。
税効果会計に係る会計基準注解
注6 税率の変更があった場合の取扱いについて
法人税等について税率の変更があった場合には、過年度に計上された繰延税金資産及び繰延税金負債を新たな税率に基づき再計算するものとする。