欠損金の繰り戻し還付、租特法失効期間中に決算を迎える企業はすべて対象に

特措法空白期間中でも 交際費、損金算入認めず

租特法の期限が切れたために企業負担が一時的に減るものもある。例えば、赤字になった企業が前期に納めた法人税の一部またはすべてが還付される「欠損金の繰り戻しによる還付」に関する特例。租特法の還付対象は設立5年以内の中小企業だけだが、同法の失効期間中に決算を迎える企業はすべて対象になる見込み。この項目は決算期に有効な法律(4月時点では租特法が失効)を適用するのが原則となっているた
めだ。

(2008年4月24日 日本経済新聞 5面)

【CFOならこう読む】

この件は、当ブログで4月7日(https://cfonews.exblog.jp/7689307/)にお話ししました。今日はその続報です。

欠損金の繰戻し還付制度とは、欠損金の生じた年度において青色確定申告を行い、かつ過去の関係年度において青色確定申告をしていたことを条件として、欠損金を当該事業年度の開始の日前一年以内に開始した事業年度に繰り戻し、これらの事業年度の税額を計算しなおして、その差額の還付を求めることを認める制度です。この制度が租特法により、適用が中止されているのです。

これが租特法の期限切れにより、失効期間中に決算を迎える企業はすべて還付対象となる、というのが今日のニュースです。4月7日にお話しした通り、「法人の事業年度は、もともと事業成果を期間損益の形で算定するために人為的に設けられた期間であるから、企業の成果を長期的に測定するためには、ある年度に生じた欠損金は、その前後の事業年度の利益と通算するのが妥当」(租税法 金子宏 弘文堂)であり、その適用を中止するということに理論的根拠はありません。

また、たまたま決算期が失効期間中であったかどうかで、還付対象となったりならなかったりするのは、課税の公平性という点で大きな問題があります。さらに、米国とのイコール・フッティングの観点(米国はすべての法人について欠損金の2年の繰り戻し、20年の繰り越しが認められています)からも、今般の租特法の改正案から繰り戻し還付中止の項目を削除し、すべての企業が欠損金を繰り戻せるようにすべきであると私は思います。

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