エンジェル税制

ベンチャー企業への投資を優遇する「エンジェル税制」を利用する企業が急増し、2008年ドに利用企業の数が過去最高に達したことがわかった。新たなエンジェル税制が導入され、投資家が税優遇をを受けやすくなったことが背景にあ。個人がベンチャー企業に直接投資する額も急増。世界同時不況の逆風が吹くなかで、税優遇をきっかけに日本のエンジェル投資が上向きつつある。
(日本経済新聞2009年4月20日 3面)

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今日はエンジェル税制についてお話しします。

政府がエンジェル税制を創設したのは1997年度。制度は拡充されてきたが、利用は低迷していた。投資するベンチャー企業以外の株式を売却し、利益を得た個人投資家しか税優遇を受けられないことに原因が多かった。

こうした事情を踏まえ、政府・与党は2008年度税制改正で他の企業へ株式投資をしていない人も優遇を受けられる措置を導入。投資家は1年間の出資額から5000円を除いた金額を課税所得から差し引けるようになった。
(前掲紙)

エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)とは、ベンチャー企業への投資を促進するためにベンチャー企業へ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度です。

ただし、個人投資家がベンチャー企業の新規発行株式を金銭の払込みにより取得した場合に本税制の対象になりますが、発行済株式を他の株主から買ったり、譲り受けたりした場合は対象とならないことにご留意ください。

個人投資家は投資時点、株式売却時点のそれぞれの時点において、税制上の優遇措置を受けることができます。

1.投資時点の優遇措置
(1) 優遇措置A(平成20年4月1日以降の投資が対象)

(ベンチャー企業への投資額-5,000円)を、その年の総所得金額から控除
ただし、控除対象となる投資額の上限は、総所得金額×40%と1,000万円のいずれか低いほう

(2) ベンチャー企業への投資額全額をその年の株式譲渡益から控除

2.投資した年の減税要件
20090420

Ⅲ.外部(特定の株主グループ以外)からの投資を1/6以上取り入れている会社であること
Ⅳ.大規模法人(資本金1億円超等)及び当該大規模法人と特殊な関係(子会社等)にある法人(以下「大規模法人グループ」という)の所有に属さないこと
Ⅴ.未登録・未上場の株式会社で風俗営業等に該当する事業を行う会社でないこと
Ⅵ.金銭の払込により、対象となる企業の株式を取得していること
Ⅶ.投資先ベンチャー企業が同族会社である場合には、持株割合が大きいものから第3位までの株主グループの持株割合を順に加算し、その割合が初めて50%超になる時における株主グループに属していないこと
経済産業省ウェブサイトより

エンジェル税制を利用するためには、まず、ベンチャー企業が経済産業省へエンジェル税制適用対象企業であること、投資が行われたこと等の確認申請を行います。 申請を受けた経済産業省は、確認後、ベンチャー企業へ『確認書』を交付します。この確認書をベンチャー企業は投資家へ提出し、投資家が確認書を確定申告の際に税務署へ提出して手続きが完了します。

このエンジェル税制の優遇対象になった企業が2008年度に85社となり、前年の約3.3倍に急増しているというのが今日取り上げた新聞記事に書かれているのです。

しかしながら、たった85社!?しかないの、というのが私の正直な感想です。

制度の周知徹底の努力が足りないのではないでしょうか?

【リンク】

「エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)のご案内」経済産業省