ロイヤルHD、連結納税制度導入により前期最終損益上方修正

ロイヤルホールディングスは8日、2010年12月期の連結最終黒字が従来予想を8億円上回る9億円になったようだと発表した。前の期は4億6800万円の赤字。主力のファミリーレストランで売上が底入れし、想定していた減損処理額が
減った。連結納税制度の導入で税負担が減ったことも寄与した。

(日本経済新聞2011年2月9日15面)

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取締役人事を巡り、内紛が起きていると報道されているロイヤルHDですが、昨日大幅な前期最終損益の上方修正を発表しました。

「連結納税制度では、今まで事業会社ごとに計算していた課税所得をグループ全体で通算できる。ロイヤルHDでは既に納めた税金で将来に還付される額が増える見通しとなったため、会計上の税負担が減った」(前掲紙)

将来に還付されると言うのは正確な表現ではありません。

会社のリリースでは修正の理由が次のように説明されています。

「翌年度から連結納税制度を適用することに伴い、繰延税金資産の回収可能性が増加し、法人税等の負担が減少した」

2009年12月期の有報を見てみると、単体ベースの繰延税金資産の内訳として繰越欠損金1,564百万円を含め、9,129百万円の繰延税金資産に対し、評価性引当額が8,718百万円も計上されています。
要するにほとんど回収不能と判断しているということです(繰延税金負債が472百万円計上されているので、B/Sには純額で60百万円の繰延税金負債が計上されています)。

子会社に利益が出ている会社もあり、連結納税制度適用に伴い繰延税金資産の回収可能性が増したということです。ただし経常利益(連結)で見ると、2009年12月期1,916百万円に対し、2010年12月期2,130百万円(修正後)なので、事業そのもので大きく業績が改善されたわけではありません。

【リンク】

2011年2月8日「通期業績予想の修正に関するお知らせ」ロイヤルホールディングス株式会社 [PDF]