対外開放進め活力回復へ-本日の経済教室とJパワー問題

Jパワー株買い増し 「日本の安保脅かさず」 英ファンドアジア代表 公平な政府審査 期待

英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント(TCI)のアジア代表、ジョン・ホー氏は9日、日本経済新聞のインタビューで、政府に申請したJパワー株の買い増しは「国の安全保障を脅かさない」と述べた。「日本が海外からの投資に開かれていることが重要」(2008年4月10日 日本経済新聞7面)

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ジョン・ホー氏は次のように主張しています。

「20%の株を保有しても、発電所の建設計画を中止させるような影響力はなく、原子力に関する機密情報を得ることもできない」
「(Jパワー問題が)会社やファンドにだけでなく、日本の市場にとっても重要な問題」
「(買い増しが拒否されれば)日本は海外の投資家を歓迎しないうえ、民営化株には投資すべきでないというメッセージを世界に送ることになる」

私には全て正論であるように思えます。
偶然でしょうが、本日の経済教室は「対外開放進め活力回復を」(宮崎勇氏 元経済企画庁長官)というものです。宮崎氏は”保護主義的な考えを改めよ”という趣旨で次のように書いています。

「さらに、対内直接投資の積極的受け入れも必要だ。日本は中国などとは対照的に、対外直接投資は活発であるのに対し、対内直接投資は米国とはかけ離れて小さく、またドイツの十分の一、中国と比べても二十分の一にすぎない。相互依存・相互補助の分業体制にある世界経済ではより積極的な対内直接投資は日本経済のためにも相手国にとっても好ましいことである。」

そして宮崎氏は日本が対外開放に消極的である理由として次のように説明しています。

「歴史的、風土的により深い要因が複合的に絡んでいると思われる。明治維新で日本は鎖国状態から解放され、その後日清、日露、そして第一次世界大戦と勝利が続く中で国際化を進めたが、太平洋戦争で再び「自分の殻の中」に入ってしまった。そして戦後再び開放体制の下で国際社会に仲間入りしたが、この歴史的な屈折の中でいまだ十分に「内向き」思考から抜けきれないということではないか。」

この理由が正しいかどうか私に判断する能力はありませんが、我々日本人のほとんどが「内向き」思考であることは間違いないように思います。だとするとこの問題は我々日本人ひとりひとり(もちろん私自身も含めて)の問題です。お役所は単に我々のそんな空気を嗅ぎ取り代弁しているだけなのかもしれませんね。

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