石炭価格上昇、セメントや製紙会社の収益圧迫

石炭価格の上昇が、セメントや製紙会社の2012年3月期の収益を圧迫する。足元の価格は1トンあたり120ドル超で、各社の今期の平均購入価格を2割ほど上回る。これを前提に考えると2012年3月期に太平洋セメントは30億円、住友大阪セメントは20億円程度の営業減益要因が生じる計算になる。王子製紙と日本製紙グループもマイナスの作用は避けられないが影響額では差が出そうだ。
(日経ヴェリタス2011年2月20日14面)

【CFOならこう読む】

セメント会社や製紙会社は、焼成や乾燥の工程で大量に石炭を使用します。石炭価格は昨年8月時点で90ドル前後であったのが、120ドル超まで上昇しています。

ところで今日の記事では、製紙2社の影響度に差があると分析しています。

「製紙2社は、同じく石炭価格20ドルの上昇で日本製紙が40億円程度の減益要因になるのに対し、王子製紙はそれほど大きくならないとみている。1トン1ドルの利益感応度は日本製紙が2億円程度、王子製紙は7000万円。日本製紙が熱量あたりのコストの低さに注目して石炭の使用を進めてきたのに対し、王子は廃棄物燃料の使用を増やしてきたためだ。
また、日本製紙は年間使用量のほとんどを期初に長期契約で調達するため「来期の調達コストは、足元の急ピッチの価格上昇を反映しやすい」(国内証券)。王子製紙は使用量の半分を長期契約、半分をスポットで買い付けるため、石炭価格の下落局面では比較的有利な価格で購入できる可能性がある」(前掲紙)

王子製紙の購入方針は、市況品を原材料として使用する企業にとって参考になると思います。

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