東武40年ぶり公募増資実施へ

東武鉄道は23日、3月に公募増資などで最大932億円を調達すると発表した。公募増資は1970年12月以来およそ40年ぶり。調達資金で2008年に発行したCBを買入消却し、財務を強化する。
(日本経済新聞2011年2月24日15面)

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今回の増資の主たる目的は、2008年10月に発行された2014年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)及び東武の海外特別目的子会社であるTR Preferred Capital Limitedが発行したユーロ円建交換権付優先出資証券を、普通株式による調達に切り替えることにあります。

2008年10月に発行されたCBの概要は当ブログでも2008年9月26日のエントリー「東武のハイブリッド証券」で取り上げています。

CBと優先出資証券の買い入れの概要は以下の通りです(プレスリリースから転載します)。

なお、本優先出資証券の買入れに関して、本優先出資証券の全保有者から本日時点において、新株式発行による資金調達の完了を前提に買入れに応じる旨の内諾を得ております。
また、本優先出資証券は、ハイブリッド証券(※)と称されるもの(以下「本ハイブリッド証券」という。)であり、本ハイブリッド証券と同等以上の資本性を持つ手段での調達資金を原資とする借替条項(リプレイスメント)の規定に基づいて、買入れを実施するものであります。

※ハイブリッド証券は、資本と負債の中間的な性質を有する証券であり、負債性調達手段の特性を有すると同時に、主要格付機関から一定の資本性が認定され、格付目的上の実質的な財務構成比率を改善し、財務の安定性を高める資本性調達手段としての特性を兼ね備えている証券であります。 当社グループが2008年10月に発行した本ハイブリッド証券は、主要格付機関(株式会社格付投資情報センター及び株式会社日本格付研究所)より70%以上の資本性認定がなされております。
なお、本ハイブリッド証券及び当該証券に係る借替条項等の詳細については、平成20年9月25日に公表いたしました「第三者割当による2014年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)の発行及び当社海外特別目的子会社によるユーロ円建交換権付優先出資証券の発行に関するお知らせ」をご参照ください。
2011年2月23日「2014 年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)及び ユーロ円建交換権付優先出資証券の買入れ、 子会社の解散並びに特定子会社の異動に関するお知らせ」東武鉄道株式会社 [PDF]

参考までにCBに付されていたリプレイスメント条項を記載しておきます。

借替証券
当社は、本社債の払込期日以降転換された当社の2016年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権社債の額面総額相当額を除き、当社又は資金調達子会社のいずれかが本社債の償還日、取得日又は買入日以前6ヶ月間に、償還、取得又は買入れされる本社債の額面金額の総額(及びその未払残高)以上の額面総額又は払込金額総額で借替証券を発行又は販売することにより資金を調達していない限り、本社債につき、上記(ア)から(オ)記載の償還若しくは買入れ又は下記5.(12)記載の現金及び株式を対価とする取得をしないことを意図している。
「借替証券」とは、下記(i)から(iv)までの証券又は債務をいい、下記(ii)から(iv)まで証券又は債務の場合には、本社債の借替証券である旨公表されており、かつ、本優先出資証券の発行日における本優先出資証券と同等以上の資本性をすべての格付機関から得ているものをいう。
(i) 本株式
(ii) 同順位証券
(iii) 同順位劣後債務
(iv) 当社のその他一切の証券及び債務
2008年9月25日「第三者割当による 2014 年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)の発行及び当社海外特別目的子会社によるユーロ円建交換権付優先出資証券の発行に関するお知らせ」東武鉄道株式会社 [PDF]

【リンク】

2011年2月23日「新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ」東武鉄道株式会社 [PDF]

2011年2月23日「2014 年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)及び ユーロ円建交換権付優先出資証券の買入れ、 子会社の解散並びに特定子会社の異動に関するお知らせ」東武鉄道株式会社 [PDF]

2008年9月25日「第三者割当による 2014 年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)の発行及び当社海外特別目的子会社によるユーロ円建交換権付優先出資証券の発行に関するお知らせ」東武鉄道株式会社 [PDF]