IFRS、企業会計審議会が見直し議論

金融庁は30日に企業会計審議会を開き、IFRS導入についての見直し議論を始めた。すべての上場企業を対象とする方向だったが、産業界からは適用範囲を「(国際的に事業展開する)グローバル企業に限定すべきだ」との意見が出された。部分適用が認められれば企業の負担は軽減されるが、異なる会計基準の併存で投資家らの混乱を招く恐れもある。これまで「3年以上」としていた準備期間については「5~7年」を軸に延長する方向で大筋一致した。
(日本経済新聞2011年7月1日5面)

【CFOならこう読む】

「部分適用なら多くの企業では導入負担が軽減されるが、国内では日本の会計基準とIFRS、米国基準の3基準が併存することになる。海外の投資家にとって日本企業の財務内容を比較することが難しくなる。関係者の間では、欧州の一部のようにIFRSを適用している企業に対象を絞った市場の創設を検討すべきだとの意見も出ている」
(前掲紙)

欧州の一部とは、例えばドイツとフランスです。

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ドイツ・フランスのように規制市場に限り、IFRSを強制適用するというのも一つの方向性であるとは思います。

しかし、その前にIFRSの資産負債アプローチや利益観が、必ずしも金融立国を志向していない日本の国益に資するか、国内で議論を尽くし、その上で日本国としての会計戦略を明確にする必要があります。そして利害を同じくする諸外国と共闘することで、IFRSを日本に有利なように導いていく努力をすることが何より重要だと私は思います。

【リンク】

「平成22年7月8日 企業会計審議会総会議事次第 配布資料 1-3 ドイツとフランスにおける取引所について」金融庁 [PDF]