大都市圏のビル耐震化、ファンド活用のための規制緩和案

・オーナーによる非耐震建築物の改修は困難
・ファンドが改修しREITに売るのも一案
・REITの資金不足解消へ税制改正検討を
(日本経済新聞2011年7月15日29面 経済教室 川口有一郎早稲田大学教授)

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以下、備忘記録として、川口案のうちビークルに関する現行法の問題点を中心に要約します。

耐震化を終えたビルの長期保有主体としてはREITが適している。ただ、ほぼフル稼働の安定したビルしか保有しないREITが旧耐震の不動産を直接購入し改修・建て替えを進めることは期待できない。

そこで旧耐震ビルの購入や改修・建て替えを進める役割を不動産ファンドに担わせる。

不動産ファンドとして活用可能なビークルとして、資産流動化法の特定目的会社、金融商品取引法の集団投資スキームおよび不動産特定共同事業法があるが、それぞれ問題がある。

中小規模かつ旧耐震の建築物は信託受益権になりにくいので、金融商品取引法の集団投資スキームが使えない。事前に物件が特定されていないので、資産流動化法の特定目的会社も使えない。結局は、現物の不動産証券化を規制する不動産特定共同事業法しか使えないが、これも現行法上、倒産隔離目的のSPCを認めていないという問題点がある。
(所有する不動産を証券化して投資家に販売する事業者にだけしか認められていない)

→不動産特定共同事業法を改正し、倒産隔離目的で不動産ファンドを設立できるようにすることが急務

REITは、資産規模の拡大を望んでいるから、立地が良く耐震化された建築物であれば積極的に買うだろう。問題は買い取り資金の不足。古くなった物件を売却する際に発生する譲渡益を購入資金に充てたいが、税法が譲渡益の90%を配当に回すことを要件に支払配当金の損金算入を認めているので、譲渡益を内部留保することができない。

→譲渡益の内部留保を可能にすべく税制改正する。