海外の配当課税撤廃により、海外利益95%国内へ還流

日本企業が海外子会社の利益を国内に還流させている。国際収支統計によると、2010年度は利益全体の95%を親会社への配当金の形で国内に戻した。この比率は2001年度以降で最も高い。2009年度に外国子会社の配当を実質非課税にした効果が出ていると見られる。
(日本経済新聞2011年7月19日5面)

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「国際経済交流財団調査(2011)によると、外国子会社配当益金不算入制度の導入前後における海外子会社利益の使途として、製造業においても、制度導入後、現地で利益を留保する企業の割合は低下し、本邦へ配当を還元する企業の割合は増加しており、海外利益を国内環流させる傾向は強くなっていると言える。」
(通商白書2011年版)

「経済白書2011年版」より 該当ページにリンクしています。

「また、経済産業省実施の海外事業活動調査(2009)によると、現地法人からの配当金の用途としては、研究開発・設備投資が最大(44.1%)で、借入金返済(26.1%)、株主への配当(19.3%)、雇用関係支出(16.1%)がこれに続く」
(通商白書2011年版)

「経済白書2011年版」より 該当ページにリンクしています。

日本の実効税率が下がりそうもない現状においては、税率の低い海外において利益を稼ぐことが定石になりつつあります。一方研究開発は日本で行い、Intellectual Property (知的財産) を日本で持つことを志向するのであれば、IPに係る移転価格の重要性が今後ますます増大していくものと思われます。

【リンク】

「通商白書2011年版」経済産業省