社内に公認会計士などの会計専門家が必要と考える上場企業、2割どまり

「社内に公認会計士などの会計専門家が必要」と考える上場企業が全体の2割強にとどまることが、日本公認会計士協会のアンケート調査で分かった。会計士試験合格者の「就職浪人」が増えるなか、受け皿として期待される企業側のニーズは高まっていないようだ。
(日本経済新聞2011年8月17日13面)

【CFOならこう読む】

「上場企業のうち、会計専門家が「社内に必要」と答えたのは23%、反面、「必要に応じて外部専門家を利用するので社内には不要」は59%、「必要性は特に感じない」が9%を占めた」(前掲紙)

企業が公認会計士を採用する場合の懸念事項として次の理由が挙げられています。

年棒で折り合わない可能性 69%
転職可能性が高い 44%
CPAの転職市場の規模、質が不明 29%
専門性の評価が困難 28%
プロを使いこなす仕組みがない 23%

要するに企業の現状の人事システムに、会計士のような異質な存在はなじまないということでしょう。しかし、これから否応なく本当の意味でグローバル化に向かわざるを得ない日本企業にとって、異質であるが有能な人材をいかにうまく組織内に取り込んでいくかが問われるのです。

また、大手監査法人の中には人材派遣会社を使って事業会社への転職を支援しているところもあり、今後今までとは比べものにならないくらい多くの会計士が、企業内で活躍するようになると思われます。

ということは、4,5年後に同様のアンケート調査を行うなら、全く違う結果になることも十分考えられると思います。

調査は企業・官公庁等に在籍している公認会計士に対しても行われていますが(308人から回答)、監査法人等からの転職者に対する転職後の満足度への質問において、76%が「良かった」と答えています。

つまり、多くの企業が企業内で会計士をうまく使えているということを意味し、上記の上場企業の懸念は杞憂であると言えそうです。

【リンク】

2011年8月12日「「組織(企業)内会計士に関するアンケート最終報報告書」の公表について」日本会計士協会