ライツイシュー、SECによる規制回避へ

金融庁は、ライツ・イシューと呼ばれる資金調達手法の利用促進に向け、年内をメドに規制を緩める。ライツ・イシューは既存の全株主に新株予約権を無償で割り当てるのもので、株価下落手法圧力が小さい増資手法として注目を集めている。
ただ、米国法に基づく財務諸表の提出が必要なことが多く、普及の妨げとなってきた。この提出をしなくても済むようにして、企業の機動的な資金調達を後押しするのが規制緩和の内容だ。
(日本経済新聞2011年8月23日4面)

【CFOならこう読む】

「米国株主が10%以上いる場合は、日本企業であってもSEC規則が適用され、目論見書や決算書などをSECに登録し、増資後も継続的に開示する必要が出てくる。
(中略)
そこで金融庁は、資金調達目的のライツ・イシューに限り、米国に居住する株主に新株予約権を割り当てても、行使しないよう制限することを認める。こうすれば、米国法に基づく財務諸表の提出などをしなくて済むようになるからだ」(前掲紙)

要するに、ブルドックソースがスティール・パートナーズに対し行った買収防衛策を、国として正式に認めるということですか。

大前研一氏が『お金の流れが変わった』は、外資が日本に背を向ける契機になったのは、ブルドックソース事件であったと指摘しています。こんなものを国家として正式に認めることになれば、未来永劫外資は日本の市場に背を向けることにもなりかねません。そうなれば、必然的に日本のグローバル企業も日本を出ていかざるを得なくなるでしょう。

関係当局にはぜひとも再考をお願いしたいところです。

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