東証、業績予想の多様化検討

上場企業が決算時に公表している業績見通しについて、東京証券取引所は2012年春に、公表方法を多様化する方向で調整に入った。売上高、利益、配当の予想数値を定型の書式に従って決算短信に記入することを求めてきたが、独自の方法で見通しを公表したい企業や経営状況の変化が激しい企業などに配慮。こうした企業には、統一様式にこだわらず「自主的に予想を開示するよう促す」(東証幹部)方針。
(日本経済新聞2012年10月14日15面)

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「今回の業績予想の多様化は、表記方法に自由度が増すため、運用を誤れば投資家への情報開示が後退しかねないリスクをはらむ」(前掲紙)

確かにそういうリスクはありますが、統一様式による業績予想の開示を事実上強制する現在のやり方が、経営者に対し必要以上のプレッシャーを与え、場合によっては決算操作や粉飾につながる、というケースも少なからずあるように思えます。

現代のようにマクロ環境や最終消費者の嗜好の変化が激しい時代においては、多くの企業の経営者にとって1年後の業績を予想するのは困難です。また、それは本来経営者の仕事ではなく、投資家の仕事です。

ただし、経営者は、投資家の意思決定にとって有用なディスクローズを今まで以上に適時的確に行うことで、情報開示の質を高める努力を求められるようになることは間違いありません。

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