オリンパス社長解任、続報

14日突然解任されたオリンパスのマイケル・ウッドフォード前社長兼最高経営責任者(CEO)は15日、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、解任直前に、書簡で「重大な企業統治上の懸念」を理由に、菊川剛会長と森久志副社長に対し辞任を求めていたことを明らかにした。
(ウォールストリートジャーナル日本版2011年10月17日)

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インタビューの中で、ウッドフォード氏は、ジャイラス案件についてプライスウォーターハウスクーパースに調査を依頼し、先週30頁の報告書を受領、この報告書とともに、菊川氏と森氏の辞任を求める書簡を送ったと話しています。

「報告書の大半は、ジャイラス買収の際にアドバイザー会社であるケイマン諸島に登記のあるアグザム・インベストメント(Axam Investment)と、ニューヨークに登記のあるアグゼス・アメリカ(Axes America)に支払われた報酬に関するものだった。ウッドフォード氏は両社にコンタクトを取れなかったと言い、本紙も両社の連絡先を確認できなかった。

報告書は「買収の規模及び性質から鑑みて、通常買収総額の1%程度が報酬として適切だと考える」と述べた上で、オリンパスがアグザム及びアグゼスに対し、6億8700万ドルの報酬を払ったことを指摘した。これは買収価格の36.1%に相当する。」(前掲紙)

この件に関し、M&Aのアドバイザリー報酬に関する会計処理について指摘しておきます。

わが国では、アドバイザリー報酬等、企業結合に直接要した支出額のうち、取得の対価性が認められる特定の報酬や手数料は取得原価に含めることとされています(企業結合会計基準26項)。

取得価額と対象企業の純資産との差額はのれんになるので、ジャイラス案件で支払われた多額のアドバイザリー報酬はのれんを構成することになります。

実際、オリンバスの場合、BS上ののれんの計上額が、2007年3月 787億円から2008年3月 2,998億円と激増しています。

仮に、この支出が実はアドバイザリー報酬の対価性を有していなかったとすると、一体このカネはどこに消えたのか?
いろいろな可能性が考えられますが、ここから先は想像の世界の話になるので、皆さんにお任せしたいと思います。

ちなみに、IFRSでは、取得に要した支出(アドバイザリー、法律、会計、評価その他専門家の手数料やコンサルタントフィー等)は、その費用の発生時またはサービスの提供を受けた時の費用とすることとされています。

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