【資本政策詳解】イーブックイニシアティブ

イーブックイニシアティブの株式上場の概要は次の通りです。

イーブックイニシアティブは、2000年設立、スマートフォンやタブレット端末、パソコン向けに漫画を中心とした電子書籍を販売している企業です。

創業者で取締役会長の鈴木雄介は株式会社小学館において、1998年に通信衛星を利用して電子書籍の配信を行うため「電子書籍コンソーシアム」を結成し、出版社、書店、キャリア、メーカーなどの業界から約150社の参画を得て実証実験を行いました。その後、2000年3月に実験が終了したことを機に、そこで培ったノウハウや人脈を活用し、2000年5月イーブックイニシアティブを設立しました。

公募価格は760円、予想PER7.1倍という水準での株式公開となりました。

2008年1月期まで赤字でしたが、2011年1月期の当期純利益は前期比5倍の9400万円を計上しています。

2007年1月期及び2008年1月期の決算はGC注記をつけており、いずれの会計期間においても減損損失を計上しています。
また上場直前期の2011年1月期の貸借対照表に繰延税金資産は計上されていませんが、5億円弱の繰越欠損金があり、来期の法人税等の納税はなさそうです。

イーブックイニシアティブの主な資本政策は (表2)の通りです。

2010年1月期現在1,118百万円の累損があり、これを一掃するため2011年1月に資本金及び資本準備金の取崩しを行っています。定時株主総会を待たずに、決算期末直前でこの処理を行っているところが特徴的です。

典型的なVC型のIPOで、目論見書提出日現在で鈴木会長と小出社長の持分割合が15%となっており、今後VC等のイグジットに伴い株主構成がどのように変わるか気になるところです。

従業員のインセンティブはストックオプションによっており、目論見書提出日現在で潜在株式の割合は15.6%と若干高めの水準になっています。また鈴木会長、小出社長の両名にもストックオプションが付与されています。

資本政策と直接関係ない話ですが、小出社長の経歴を見ると、会計士補として太田昭和監査法人でパートタイム勤務していたことが書かれています。

会計士協会のサイトで検索をかけてみましたがヒットしませんでした。登録を取り止めたということでしょうか?

【リンク】

株式会社イーブックイニシアティブジャパン