ウシオ電機のM&A

ウシオ電機の収益構造が大きくかわりつつある。コピー機や映画プロジェクターや半導体やプリント基板の回路焼き付けに使う産業用特殊ランプのメーカーとして知られてきたが、近年はシネマプロジェクターや半導体露光機そのものなど、装置事業の比率を高めてきた。光という身近なものの性質を徹底的に見極め、波長ごとに様々な用途の製品を開発。半導体や電子部品、映像から金属加工、医療まで収益の幅を広げている。
(日経ヴェリタス2011年11月20日16面)

【CFOならこう読む】

「ウシオはまた、自社にない光技術をうまく取り込むM&Aでも巧者ぶりを見せる。1980年以降、30件近い提携や買収を実施し、「失敗は非常に少ない」(大島誠司CFO)と胸を張る。投資銀行などが持ち込んでくる案件には目もくれず、取引先からの情報提供、紹介をベースにみずから相手を発掘し、時間をかけて買収・提案にもっていくのがウシオ流だ」(前掲紙)

投資銀行が持ち込む案件に、ろくに検討もせず飛びつく会社が少なくない中、ウシオ流は本来あるべき姿であるかも知れません。記事ではデジタルシネマプロジェクターで世界シェア45%の米クリスティ・デジタル・シネマズ(カリフォルニア州)のM&Aのケースが紹介されています。

フィルムプロジェクターをてがけていたクリスティの販路とウシオが買収した別の会社のデジタル技術を組み合わせることで大きなシナジーを実現しとということですが、こういう案件は自ら発掘するしかありません。

ただしこういう成功事例も、「光のワンストップショッピングセンターを目指す」(前掲紙)というビジョンが明確になっているからでしょう。

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