ライブドア虚偽記載による損害賠償問題−地裁判決

ライブドア事件で、株価が下落して、損害を受けたとして、個人と法人株主約3300人がライブドアホールディングス(旧ライブドア)や堀江貴文元社長(36)ら旧経営陣に対し、約230億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。難波孝一裁判長は有価証券報告書の虚偽記載による損害を認め、計約76億2000万円の賠償を命じた。
NIKKEI NET2009年5月22日

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金商法21条の2第2項は損害の額を次のように計算すると定めています。すなわち、有価証券報告書等の虚偽記載等の事実が公表されたときは、その公表日前1年以内に当該有価証券を取得し、その公表日において引き続きその有価証券を所有する者は、その公表日前1ヶ月間のその有価証券の市場価額(市場価額がないときは、処分推定価額)の平均額から公表日後1ヶ月間のその有価証券の市場価額の平均額を控除した額を、虚偽記載等により生じた損害額とすることができる、としています。

今回の地裁判決の損害額の推定方法はこの規定にしたがって算定されたものです。本件では、公表日がいつであるのかが問題になりましたが、「検察官が広く報道機関に事実を伝達することは『公表』にあたる」として、東京地検特捜部の強制捜査の2日後の2006年1月18日、ライブドアの虚偽記載容疑が一斉に報じられたため、検察官が同日に報道機関に事実を伝達したと推認できるとしたものです。この点については昨年6月の地裁判決も同様の判断をしています。

なお、本件では株価下落には虚偽記載以外の要因(1.ライブドアの強制捜査、2.堀江元社長の逮捕、3.上場廃止の恐れ)もあったとして、公表前後1ヶ月間の株価の差額から66%を減額して損害額を算定しています。昨年6月の地裁判決における減額は約3割でしたから、それと比べて縮減額が大幅に拡大されたことになります。

今後の裁判では、妥当な縮減額がいかほどのものか、という点が主な争点になりそうです。

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