外国口座税務に関する法令順守法(FATCA法)

米国が金融規制や税法などで独自のルールを打ち出し、国際的な影響が広がる可能性が出てきた。日本でも金融機関の資金運用や個人情報の保護などで対応を迫られそうだ。
(日本経済新聞2012年1月19日6面)

【CFOならこう読む】

「米国内から米以外の外国銀に送金される利子や配当などの支払いに、原則30%の源泉徴収課税を目指す構想も波紋を広げる。米富裕層による国外への所得移転などを把握し、新たな税収を確保するのが狙いで、2010年成立の外国口座税務に関する法令順守法(FATCA法)に基づく」(前掲紙)

FATCA法の趣旨について、伊藤剛志弁護士がわかりやすく説明しているので、引用します。

「米国連邦法は、米国市民・居住者外国人及び米国法人について、その全世界所得に課税を行うものとしており、これらの者は、米国外で得た所得についても米国で適切に申告・納税しなければならない。米国課税当局が米国外の所得に対して課税を行うためには、米国納税者の米国外の所得に係る正確な情報を得ることが必須である。米国課税当局が米国外の所得に係る情報を入手できないのであれば、米国外の所得を意図的に申告せずに税負担を免れようとする米国納税者が出現するであろう。近時、租税条約に基づく情報交換を通じて、課税当局が海外の所得に係る課税情報を入手できるようになってきているが、かかる情報交換にも限界がある。そのため、米国FATCA法は、米国外金融機関(Foreign Financial Institution: FFI)が米国納税者の口座情報を米国課税当局に直接に提供する仕組みを確保することを通じて、米国課税当局が米国納税者の米国外所得に係る正確な情報を入手できる制度を構築しようとしているのである。

 もっとも、米国外金融機関は米国の領土・主権の及ぶ範囲の外に存在するのであり、米国が米国外金融機関に対して米国納税者の口座情報の提供を直接に強制することができるわけではない。そのため、米国FATCA法では、米国企業が米国外金融機関に対して行う一定の支払に対して源泉徴収を行うという不利益を組み合わせることにより、米国外金融機関が米国課税当局に当該口座情報の提供を行うように動機付けている。」(伊藤剛志弁護士「日本の金融機関に重大な影響を与える米国FATCA法」)

 

FATCA法は、日本の金融機関を含めた米国外金融機関に大きなコスト負担を要求すること等の理由から、日欧などから見直し要求が殺到しており、「米側は近く修正案を示す方向」(前掲紙)

とのことです。

唯我独尊!!

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