企業型確定拠出年金の「従業員の上乗せ拠出」60社超導入

今月から認められた企業型確定拠出年金の「従業員の上乗せ拠出」について、60社超の企業が導入することが明らかになった。野村證券やベルギー系製薬会社ユーシービージャパンなどは4月開始に向け準備を進めている。
(日本経済新聞2012年1月25日7面)

【CFOならこう読む】

「これまで掛け金を拠出するのは企業に限られていたが、今月から従業員が最大月2万5500万円(他に企業年金がない場合)まで上乗せできるようになった。掛け金は所得控除の対象となり、運用益も非課税。老後に受け取る時も年金所得控除などを受けられ、個人で金融商品に投資するより有利になる」(前掲紙)

確定拠出年金の最大のメリットは、その税制にあります。

これは単に拠出金額が所得控除されるというだけでなく、実質的にキャピタルゲインに対する税金が免除されることを意味します。

この点マイロン・ショールズ他の「タックス・アンド・ビジネス・ストラテジー」(邦題「MBA税務工学入門」中央経済社)は、次のように説明しています。

「年金基金に拠出された$1は、n年後には$(1+R)nとなるが、年金支払時に、この投資収益累計額の全額に対して税率tで課税されるとした場合、税引後の手取り額は$(1+R)n (1-t)となる。年金基金に対する当初の投資額は($1)は、税効果(税引)後で考えた場合、(拠出時に投資支出額が全額損金算入されているために)$(1-t)で済むことから、税引後投資支出額に対する税引後投資収益率は、次のように計算される。

{1/(1 -t )}(1 +R ) n (1 -t ) = (1 +R ) n

但し、

R=税引前運用利回り
n =期間
t =通常税率 」

つまり掛け金が全額所得控除されるだけで無税の恩恵が受けられる上に、年金所得控除も受けられるということは、国家から補助金を受けて運用できるということを意味します。

この点をもっとアピールすれば、確定拠出年金の普及に更にはずみがつくと思います。

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