東芝、為替抵抗力に落とし穴

東芝は31日、2012年3月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比53%減の650億円になる見通しと発表した。従来予想は2%増の1400億円。液晶テレビと半導体の低迷に加え、為替の円高の影響が足を引っ張る。ドル・円レートの変動が利益に与える影響がゼロとして知られる東芝だが、強くなったはずの為替抵抗力には意外な落とし穴があった。
(日本経済新聞2012年2月1日13面)

【CFOならこう読む】

東芝は輸出と輸入のマッチングさせることによりドル・円レートの影響をゼロとしていたのですが、国内向け液晶テレビの輸入が、国内需要の低迷により当初想定より減少したこと、及びユーロ対策を優先したため、欧州で販売するパソコンの調達をドル建てからユーロ建てに変更したことによりドル建ての購入額が減少したことの2つが主な原因とのことです。

同一通貨の支払と収入を同額にすることで、その通貨の為替の影響を極力排除するというのは一般的によく行われている手法ですが、その前提として将来の収支を正確に予測できることが必要です。しかし神様でもない限り実績と予測とは少なからずずれが生じるわけで、そのずれについては、タイムリーに対応することが求められます。

【リンク】

なし