AIJ年金損失問題、企業の損失計上相次ぐ

AIJ投資顧問による年金消失問題に関連し、2012年3月期決算で特別損失を計上する企業が相次いでいる。12日にはAIJに預けていた資産が最大だった富士電機が前期の連結決算で約70億円を特別損失に計上すると発表した。
(日本経済新聞2012年4月13日15面)

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「日本公認会計士協会が年金基金の損失を前期決算で特損処理する指針を定めたのを受け、日本ユニシスとSCSKは委託残高の全額を前期決算で特損処理することを既に発表している」(前掲紙)

日本公認会計士協会は、3月22日付けで、平成24年審理通達第1号 「年金資産の消失に係る会計処理に関する監査上の取扱いについて」を公表しています。

その内容は以下の通りです。

「今般、金融庁から業務停止命令を受けた投資顧問会社と投資一任契約を結んだ年金基 金の年金資産は、その消失の経緯を含め、本件事案の詳細な内容に関してはいまだ明ら かになっていないが、年金資産の大半の消失がほぼ確実に見込まれるとされる現状から は、本件事案が明らかになった事業年度において、当該消失の事実を財務諸表に反映さ せることが適切であるものと考えられる。すなわち、財務諸表作成時に入手可能な情報 を収集し、消失が見込まれる金額を合理的に見積もり、退職給付引当金を計上すること が適切であると考えられる。なお、引当金の計上に伴って発生する損失(消失が見込ま れる年金資産の額)は、通常の取引以外の原因に基づいて発生した臨時的損失と考えら れるので、監査上、特別損失として処理することが適切であると考えられる。
なお、消失が見込まれる年金資産の額の見積りについては、本件事案の情報入手の困難性も考慮し、入手可能な情報に基づいて合理的な金額が見積もられていることを確か める必要があると考えられる。」

【リンク】

2012年3月22日「年金資産の消失に係る会計処理に関する監査上の取扱いについて」日本公認会計士協会 [PDF]