「空売りの帝王」、中国に照準

「米国で空売りの帝王と呼ばれる男が、中国株を売っている。米ヘッジファンド、キニコス・アソシエイツ創業者のジム・チェイノス氏。かつて、経営破綻したエンロン株の空売りで名をはせた同氏の今度の標的は、世界第2位の経済大国だ。「中国売り」の勝算から、空売り投資家の醍醐味や信念まで、幅広く語ってもらった」
(日経ヴェリタス2012年4月22日10面)

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このインタビュー記事、とても面白いです。

ジム・チェイノス氏は、中国売りの理由を次のように述べています。

「中国の銀行は『砂上の楼閣』のようだ。最大の問題は、不良債権の処理を先送りしてきたことにある。1999年と2004年の2度にわたり、信用不安から金融機関の不良債権比率は約4割に達した。この局面で、中国政府はどう対応したか。政府が出資して資産運用会社を設立し、ここに銀行の不良債権をまるごと引き受けさせた。代わりに金融機関は、運用会社が発行した社債を受け取った。
(中略)
いつか運用会社が不良債権による損失を認識しなければいけなくなり、社債を保有する金融機関も無傷ではいられなくなるだろう。つまり、中国の銀行は深刻な資本の問題を抱えている。中国政府はギリシャに感謝状を贈るべきではないか。欧州問題によって、中国問題の深部にスポットライトが当たるのを回避できているのだから」(前掲紙)

中国問題の日本への影響については、このように述べています。

「人口問題を抱える日本は、貿易面で対中輸出に頼ってきた。中国に対する私の見解が正しいとするなら、日本は円高の悩みととともに(対中輸出減という)深刻な問題を抱えるだろう」(前掲紙)

中国への輸出比率が高い会社は、そろそろポートフォリオを見直す時機なのかもしれません。

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