香港、粉飾で金融機関に過去最大の罰金

香港の証券監督当局である証券先物事務監察委員会(SFC)は、台湾系の金融機関、兆豊資本亜州に対し、過去最大の罰金を科すことを決めた。
(日本経済新聞2012年4月24日7面)

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2009年に香港でIPOした台湾系生地メーカー洪良国際控股の粉飾が発覚したが、兆豊資本は主幹事として、十分な審査を行わなかったとして、

「4200万香港ドル(約4億4千万円)の罰金と、企業の資金調達に関する助言業務の免許を停止した」(前掲紙)

とのことです。

IPO後すぐに粉飾が発覚したケースは、日本でもいくつか事例がありますが、会計面における責任は、もっぱら会社と会計監査人が問われるのが普通です。

証券取引等監視委員会の総務課長が、東証のメルマガに新興市場上場企業の虚偽記載について事例を交えて紹介する記事を寄稿しています。

http://www.fsa.go.jp/sesc/keisai/24/20120404-1.pdf
http://www.fsa.go.jp/sesc/keisai/24/20120418-1.pdf

記事は、特に粉飾が経営者主導で行われることを強調しています。

これをあえて証券取引所のメルマガに掲載しているということは、上場審査の重要性を問うているものと思われます。

IPO前の粉飾については、反面調査ができない会計監査人にその責任の全てを負わせるのは無理があり、取引所及び主幹事証券の審査に負う部分も大きいと考えます。
ただし、審査を厳しくしすぎて日本における上場がますます困難になるという事態は避けなければならず、その辺のバランスがとても難しいですね。

【リンク】

http://www.fsa.go.jp/sesc/keisai/24/20120404-1.pdf
http://www.fsa.go.jp/sesc/keisai/24/20120418-1.pdf