コジマ、小島会長を事実上解任

家電量販大手のコジマは28日、創業者の長男で筆頭株主の小島章利会長が取締役を外れ、相談役に退く人事を発表した。小島会長は同社が11日発表したビックカメラ傘下入りに反対しており、事実上の解任とみられる。
(日本経済新聞2012年5月29日12面)

【CFOならこう読む】

5月14日の記事「コジマ、ビックカメラ傘下入り」の続報です。

「小島氏はビックの連結子会社となることに「今は規模拡大によるメリットは見込めない。自社が責任をもって業務改善に集中すべきだ」などと取締役会でただ一人反対を表明していた」(前掲紙)

本件は、ビックが株式の50%超を第三者割当増資を引き受ける形で実行されます。大きな希釈化を伴うストラクチャーをあえて選択する意味がよくわかりませんでしたが、今日のニュースを聞いて、現在12%の持分を保有する小島氏の持分比率を下げることも目的の一つであったのだと、妙に納得してしまいました。

しかしTOBであれば、それなりのプレミアムが享受できたであろう一般株主の機会損失は、今後のシナジーの実現による株価上昇という形で償われる日がいつか来るのでしょうか?

欧州では、支配権が移転するような一定の議決権割合(英独は30%以上、仏は3分の1超)に達する株式を取得した場合その取得自体は、TOB規制の対象とはなりませんが、その代わり、取得後に他のすべての株式を対象にしたTOBを行わなければなりません。取得には市場内外・新株発行すべてが含まれます。
(三井秀範金融庁総務課長「欧州型の公開買付制度」商事法務No.1910(2010))

本件の第三者割当増資が有利発行でも不公正発行でもないなら、法的問題はないのかも知れませんが、一般株主の立場からは釈然としない思いが残ります。

やはり日本でも欧州型のTOB規制の採用を検討すべきではないでしょうか。

ちなみに欧州の全部勧誘・全部買付のTOB価格は、過去一定期間(英仏は1年間、独は6ヵ月間)における最高取引価格以上でなければならないとの規制が課されています(同上)

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