消費増税、衆院通過 所得・相続増税は年末に議論

消費増税関連法案が26日、衆院を通過し、消費税率の引き上げへ大きく前進した。財政の健全化への一歩だが、社会保障を安定させる抜本的な対策は置き去りとなった。
(日本経済新聞2012年6月27日3面)

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「社会保障と税の一体改革の関連法案では、消費増税で負担感が増す低所得層への対策や、子育て支援の財源など与野党にとって重要な課題の結論を軒並み先送りした」(前掲紙)

所得税増税についても結論は先送りになりました。政府案では2015年から所得税で課税所得5000万円超の部分に45%の税率を設けることが盛り込まれていました(現在40%)。

但し3000万円超で45%、5000万円超で50%の税率を設けるという案も議論されており、方向性としては富裕層増税に向かっています。

先日、米国における富裕層増税は誤り、とのフェルドシュタイン教授の主張を紹介しました(2012年5月25日「富裕層増税は間違いーフェルドシュタイン教授」)。日本でもフェルドシュタイン教授の議論はそのまま通用すると思われますが、このような立場を支持する共和党のような政党が日本にはありません。その結果今日本で行われている議論はバランスを欠いているように思えます。

富裕層は行き過ぎた増税に対しては、徹底的なタックス・プランニングか低課税国への逃避で対抗します。その結果、日本から価値創造の担い手はどんどんいなくなってしまいます。

今必要なのは、消費税の増税と併せて、所得税率(法人税率)の引き下げと税制の簡素化及び課税ベースの拡大をセットで進めることだと私は思います。

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