シャープ、主要事業売却

シャープは複写機や空調機器など主要事業を売却する方針を固めた。スマートフォン向けの液晶パネルをつくる亀山工場を別会社にして、他社からの出資を受け入れることも検討する。
同社は今期の最終損益が2500億円の赤字になる見通し。中小型液晶など競争力ある分野に事業を絞り込み、経営支援を取り付けて経営再建を急ぐ。
(日本経済新聞2012年8月17日1面)

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「シャープは来年秋に約2000億円の転換社債の償還を予定するなど、5000億円規模の資金の借り換えなどが必要になる見通し。主力2行は資本・業務提携先のホンハイ精密工場によるシャープ本体への出資や追加リストラを条件に、金融支援を検討する」(前掲紙)

2012年6月末時点の有利子負債残高は約1兆2500億円。自己資本比率は3月末の23.9%から6月末は18.7%に低下。また株主資本は3月末の7,192億円(うち利益剰余金2,599億円)から6月末は5,753億円(うち利益剰余金1,160億円)に減少しています。

2013年3月期の通期の当期純損失予想は2500億円ですので、利益剰余金はほぼすべて吹っ飛ぶことになります。

リストラによる資産売却と有利子負債削減は緊急の課題ですが、ゴーイングコンサーンのためには資本増強が必須になります。問題は誰がこれを引き受けるか、です。

さらに棚卸資産が3月末5274億円から6月末5137億円とほとんど減っていないことも気になります。

現行の棚卸資産の評価に関する会計基準では、正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とするとされており、想定外の規模で棚卸資産評価損計上を余儀なくされることも考えられるからです。

事態は急を要しています。

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