証券優遇税制「ISA」前途多難

証券投資を側面支援してきた税制上の優遇策に暗雲がたれこめている。上場株式の配当や譲渡益に対する課税を20%から10%に軽減している現行の証券優遇税制は風前のともしびだ。金融庁と証券業界は「少額投資非課税制度(日本版ISA)」と呼ばれる措置を証券市場活性化の看板に据える構え。ただ、日本版ISAには証券会社がシステム投資に億円単位の費用負担を迫られるほか、利用申請の仕組みが煩雑など課題も多い。
(日経ヴェリタス2012年9月16日19面)

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「業界に漂うのはしらけムードだ。導入の際に各社が迫られるシステム開発負担は1社あたり1億~3億円とされる。現行の枠組みは3年間の時限措置のため、「制度がなくなれば投資コストが回収できない」と楽天証券の楠雄治社長は語る。」(前掲紙)

金融庁は、日本版ISAの恒久化を2013年度の税制改正で要望していますが、むしろ軽減税率延長を徹底して推すべきではないでしょうか。

野田首相は、「消費税増税のタイミングで投資家だけを優遇できない」と言っていますが、国民を投資家とその他に分けて対立するかのように議論するのは間違っています。
我々国民はみな労働者であり消費者であり(年金基金等を含む)投資家であるのです。

投資を喚起し、そのカネを「明日の会社」や「明日の事業」に回していくために、軽減税率延長は必要です。消費税増税するから軽減税率延長を止めるというのは、全く理屈が通らない話です。

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