JAL再上場

日本航空(JAL)ガ19日、経営破綻に伴う上場廃止から2年7ヶ月ぶりに東京証券取引所第1部に再上場した。初値は売り出し価格(3790円)を20円上回る3810円だった。時価総額は約6900億円と世界の航空大手の中でも屈指の規模。世界の株式市場では米フェイスブックに次ぐ今年2番目の大型上場となった。
(日本経済新聞2012年9月19日夕刊1面)

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「日航再建を主導してきた官民ファンド、企業再生支援機構は保有する日航株をすべて売却。出資した公的資金(3500億円)を回収し、3000億円近い売却益を得た。日航への公的支援は国民負担なく終結する。」(前掲紙)

多額の繰越欠損金があり当面税金の支払が減免されることがANAとの対比で見ると不公平ではないかとの指摘があちこちでなされています。

新規公開時の有価証券届出書に記載されている税効果会計関係の注記を見ると2012年3月31日現在、繰越欠損金による繰延税金資産3,922億円との記載があります(2011年3月31日現在では4,885億円)。会計基準の縛りがあって、会計上は、このほとんどは回収不能とされ資産性が認められていませんが、JALは営業利益を12年度で1500億円、13年度は1400億円見込んでいることを鑑みるとそのほとんどが回収可能であると思われます。

ということは、売却益3000億円と言ってもそれを上回る税金の減免が今後予定されており、国庫負担の観点で見るとむしろマイナスであると言えます。

再生がなった企業の税金が何故減免されるかという批判は正当なものであり、立法で手当すべき課題であると感じます。

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