ルネサス、官民で買収

業績不振の半導体大手、ルネサスエレクトロニクスに対し、トヨタ自動車やパナソニックなど日本を代表する製造業が、政府系ファンドの産業革新機構と組み、1000億円超を共同出資する方向で調整に入った。すでに交渉中の米投資ファンドへの対抗策をつくり、年内に過半数の株式取得を目指す。ルネサスは車や家電を制御するマイコンで世界首位。基幹部品の安定調達に向け、官民挙げて異例の支援体制を組む。
(日本経済新聞2012年9月22日1面)

【CFOならこう読む】

「出資企業としては日産自動車やホンダ、キヤノン、ファナックなどの名前が挙がっている。自動車部品メーカーではトヨタ系のデンソー、ホンダ系のケーヒンのほか、世界大手の独ボッシュなど海外勢にも出資を求めている。第三者割当増資などにより、産業革新機構と合わせて1000億円超を共同出資し、ルネサスを買収する方針だ」(前掲紙)

ルネサスについては、8月末に米系PEファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が出資する案を示しています。

「ただKKRが大胆な工場の集約などに踏み切った場合、マイコンの安定調達に支障をきたす可能性がある。」(前掲紙)

また、KKRは投資を回収するため、海外の企業にルネサスを売却する懸念もあるとのことです。

しかし、私にはこれが何故国庫を投入する理由になるのかわかりません。安定供給が必要なら、必要な企業が必要な範囲で第三者割当増資に応じるというのであれば理解できます。
しかし、民間企業を救済するのにどうして税金を投入する必要があるのでしょうか?

海外の企業うんぬんというのも上場していれば常にあり得る話で、それが大きな問題であるのなら、はなから国営企業として運営すれば良いのです(もちろん国民の理解が得られればの話です)。

経営不振企業の再建といったリスクの高い投資は、もとより国が行うべきものではありませんし、民間企業を国が救済したりしなかったりするのは公平性の点から問題です。またJALの例を見ても明らかなように、民間企業同士の競争に国が介入するのは、資本主義の根幹を揺るがしかねないと、私は思います。

【リンク】

なし