日本版スクーク(イスラム債)

イスラム圏の人口は今後も増え続ける見通しで、イスラム金融も規模の拡大が見込まれる。海外業務に活路を見いだす日本の金融機関にとって、戦略分野の一つになりつつある。
(日本経済新聞2012年10月23日25面)

【CFOならこう読む】

「米調査会社トムソン・ロイターによると、イスラム債(スクーク)の発行高は、2011年に345億ドルと過去最高を記録した。金融商品の残高は1兆ドル規模との推計もある。もっとも世界の金融市場に占める割合はわずかで、伸びシロは大きいといえる。」(前掲紙)

金融庁の資料に基づき、日本版スクークの概要をまとめてみます。

スクーク(イスラム債)とは、利子を生じさせる社債を取り扱うことができないイスラムの投資家や発行体でも取り扱うことができる、イスラム法を遵守した金融 商品で、経済的に社債と同等の性質を有するものをいいます。

「日本版スクークとは、従来の投資家からのみではなく、イスラムの投資家からの資金調達をも可能とする金融商品で、法的には社債そのものではありませ んが、税制上は社債と同様の取扱いが措置されているものです。

投資家が受ける「日本版スクーク」の分配金は、税務上、社債の利子と同様に 取り扱われ、海外投資家(外国法人・非居住者)が支払を受ける場合、一定の要件のもと非課税となります。

平成23年度税制改正において、日本版スクーク(イスラム債)として活用しうる社債的受益権を社債と同様に取り扱う趣旨の税制措置が講じられたことにより、上記のように取扱われることになりました。

海外投資家が支払を受ける「日本版スクーク」の分配金に係る非課税措置は、 平成25年3月31日が適用期限とされていますが、我が国において「日本版スクーク」の発行実績が上がれば、上記適用期限の延長又は恒久化の可能性があります。

【リンク】

平成24年4月「日本版スクーク’イスラム債( に係る税制措置 Q&A」金融庁 [PDF]