鴻海(ホンハイ)マジック?

三原たち鴻海チームが乗り込んでから3ヵ月。SDP(堺ディスプレイプロダクト)の7〜9月期の税引前利益は黒字に転じた。2012年3月期にシャープが計上した大赤字の「主犯」とされた工場が、にわかに息を吹き返したのだ。鴻海は一体どんな魔法を使ったのか。
SDPと取引のある部材メーカーの幹部が種明かしをする。「歩留まりを上げ、販路を広げた。それだけのことです」
(日本経済新聞2012年11月22日2面)

【CFOならこう読む】

「高機能なら売れる」。技術への過信から売れないパネルを作り続けたシャープ。ドイツ証券シニアアナリストの中根康夫は「無理に在庫を積んで工場の稼働率を上げ、利益を創出する体質になっていた」と手厳しい。鴻海が正常な形に戻したとたん、堺の赤字はぴたりと止まった。」
(前掲紙)

これって随分前に日本でも話題になった、ゴールドラット博士の「ザ・ゴール」の世界ではないか!?

ゴールドラットは、「ザ・ゴール」の日本語版の出版をなかなか許可しませんでした。
その理由が、「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一流だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」ということだったのは有名な話です。

「ザ・ゴール」の日本語版が出版されたのは2001年のことでした。
しかし10年たっても「ザ・ゴール」のTOCの考え方は、あまり浸透していないようです。
セクショナリズムから抜け出せず、会計上の利益のみを重視し(「ザ・ゴール」ではスループット会計という直接原価計算の一種を提唱しています)、在庫の山を積み上げる。これは、ジョナ先生のアドバイスを受ける前のユニコ社の工場そのものです。

日本企業は外圧によってしか変革することができないのでしょうか?

【リンク】

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か
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