日本株、復権の予感?

海外投資家に見放され続けてきた日本株がにわかに息を吹き返している。日経平均株価は先週、約8ヵ月半ぶりに1万円の大台を回復。海外勢による日本株の買越額は、上げ相場の始まった11月第2週以来、5週間累計で1兆1300億円に達した。春先の株高局面を上回る勢いだ。
(日経ヴェリタス2012年12月25日1面)

【CFOならこう読む】

「にわかに活気を帯びてきた日本の株式市場。だが、復権への道は決して容易ではない。
(中略)
「リーマン・ショック前に米スティール・パートナーズなど株主主権を前面に出すファンドが相次いで排除され、「日本の経営者による株主重視の姿勢はむしろ後退した」(米系証券の投資銀行部門幹部)とされる。会計不祥事の頻発やROEの低迷も、「経営規律の緩さ」が影響している。」(前掲紙)

大前研一氏が『お金の流れが変わった』で指摘しているように、海外のマネーが日本に入って来なくなったのは、ブルドックソース事件以降です。

「「日本にはホームレス・マネーが来ない、と述べた。その契機となったのが、ブルドックソースのポイズンピルを認めたあの最高裁判決だといっていいだろう。事実あれ以来、外資は日本の市場に背を向け、世界のマネーはぱったり日本に入ってこなくなった。」(139頁)

日本の株式市場が復権するためには、「経営規律の緩さ」を排除することが必要です。
これは経営者だけの問題ではなく、これを支える日本のインフラ、行政や司法の問題でもあります。

「例えば敵対的買収。株価を過度に割安なまま放置すると買収の標的になってしまうため、「経営に一定の規律を与える」と欧米では評価される。だが、日本での成立は極めて困難。企業や金融機関の仲間意識が強く、「資本の論理」が通りにくい。」(前掲紙)

米国でも、標的となる企業の経営者は、自分の会社が敵対的買収されることを望ましいことだとは誰も思いません。
しかし、株価が割安のまま放置され、その結果買収者が現れたら、それを自らの保身のためだけに排除することは許されないと知っています。

これは会社は誰のものか、などということ以前の世界の常識です。
ブルドックソース事件後において、日本の株式市場が真に復権するためには、日本株式会社ムラ全体が世界の常識に従って行動することが必要であると思います。

来年は、「資本の論理」による敵対的買収がいくつか日本でも起きる年になるかもしれません。

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