MBKパートナーズ、「コメダ珈琲店」買収

「コメダ珈琲店」を展開するコメダは15日、アジア系投資ファンドのMBKパートナーズがコメダの株式を取得すると発表した。
(日本経済新聞2013年1月16日10面)

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「MBKが2月にアドバンテッジパートナーズ(出資比率78%)のほか、サッポロホールディングス参加のポッカサッポロフード&ビバレッジ(同12%)などから全株を取得する。買収総額は負債を含め約430億円とみられる。」(前掲紙)

ポッカ社(現ポッカサッポロフード&ビバレッジ)は、2008年4月に、アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンド(以下「APファンド」)が出資する、カフェチェーンを展開するコメダグループの株式を譲り受けた株式会社AP11(平成21年3月、株式会社コメダに社名変更。)に対し、カフェ事業を展開する連結子会社であります株式会社ポッカクリエイトとの外食事業面でのシナジー創出を目的として12%の出資を行いました。その際、APファンドがコメダ社株式全株を第三者に譲渡する場合、APファンドの請求に従いその全株を当該第三者に対しAPファンドと同一の条件で売却する旨の株主間契約を締結しています。

今般、この株主間契約に基づき、ポッカサッポロフード&ビバレッジその他の少数株主もMBKパートナーズにコメダ社株式を譲渡するものです。

サッポロホールディングスは、株式譲渡の概要を昨日次のようにリリースしています。

「資産の名称:株式会社コメダ株式558,240株
(コメダ社の発行済株式総数の12%)
帳簿価格: 559百万円
譲渡益: 約34億円
※譲渡益については譲渡に係る費用等の見込み額を控除した概算額を記載しております。」

5.6億円の投資が5年後に40億円の成果を生んだということです。IRRで50%近くのリターンになります。LBOが現代の錬金術と謂われる所以です。

創業者である加藤氏もこのディールに一口乗っているものと思われます。

ベンチャー企業にとってのExitはIPOだけでなく、このような形もあるということを、起業家は知っておく必要があります。

そして大きなリスクに果敢に挑むPEファンドの存在があって初めてこのようなディールが成立するという意味でも、PEファンドに多くの年金が投資しており、そこで普通の人の資産形成が行われているという意味でも、現代資本主義におけるPEファンドの重要性を強く感じます。

【リンク】

2013年1月15日「特別利益の発生に関するお知らせ 2013年会社情報」サッポロホールディングス株式会社