シンガポールのウットラム社、日本ペイントにTOB

日本ペイントは21日、シンガポールの塗料大手ウットラムグループからTOB(株式公開買い付け)の提案を受けたと発表した。ウットラムは日本ペイントに14・5%を出資する筆頭株主。アジアを中心とする新興国での事業拡大をにらみ出資比率を約45%まで高めたいとしており、事実上の買収提案となる。日本ペイントは「内容を現在確認・検討中。対応については追って速やかに開示する」とコメント。塗料分野で世界5位の企業連合づくりの是非を慎重に見極める構えだ。
(日本経済新聞2013年1月18日9ページ)

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「ウットラムは香港子会社のニプシー・インターナショナルを通じ、日本ペイント株を1株900円で8000万株を上限に買い付けを目指すとみられる。その場合の取得総額は最大720億円。取得額は21日終値(809円)を11%上回る。」(前掲紙)

ウットラムと日本ペイントは50年以上にわたって協力関係を維持しており、今回の買収提案は2代目のゴー・ハップジン氏が熟慮の末決めたものと見られています。

日本ペイントは、以下の内容の買収防衛策を導入しており、今後これに照らし対応を検討することになります。

「当社は、当社株式に対する大規模買付行為が行われた場合において、株主の 皆様に十分な情報提供が行われることを確保するとともに、企業価値および株 主共同の利益を毀損する買付行為を防止するため、平成19年6月28日開催の第 182回定時株主総会において株主の皆様にご承認いただき、特定株主グループ の議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株式の買付行為、または 結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株式の 買付行為に関する対応方針として、「当社株式の大規模買付行為に関する対応 方針」(以下「本対応方針」といいます。)を導入いたしました。また、平成22 年6月29日開催の第185回定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただ き、これを継続しております。
本対応方針は、大規模買付者が当社取締役会のあらかじめ定める手続に従わ ない場合、または当該大規模買付行為が当社の企業価値あるいは株主共同の利 益に回復しがたい損害をもたらすものであると判断される場合には、当社取締 役会の決議により、当該大規模買付者等は行使することができないという行使 条件を付した新株予約権の株主割当を実施し、当該大規模買付行為による損害 を防止いたします。なお、かかる判断にあたっては、当社取締役会から独立し た第三者機関である独立委員会の勧告を最大限尊重します。

本対応方針は、大規模買付者が基本方針に沿う者であるか否かを株主の皆様 および当社取締役会が判断するにあたり、十分な情報提供と判断を行うに相当
な期間を確保するために定めるものであり、特定の株主または投資家を優遇し、 あるいは拒絶するものではありません。また、対抗措置として新株予約権を発 行するのは、当該大規模買付行為が当社の企業価値あるいは株主共同の利益に 回復しがたい損害をもたらすものであると判断される場合など、厳重な客観的 要件を充足する場合に限定されるとともに、その発行の是非の判断にあたって も、独立委員会の中立公正な判断を重視することとしており、当社取締役会の 恣意的判断を排除しております。対抗措置として発行する新株予約権ならびに その行使条件についても、あらかじめその内容について開示を行うなど、企業 価値向上および株主共同の利益確保に必要かつ相当な範囲内の対抗措置である と考えます。
したがって、当社取締役会は、前記3の取組みは基本方針に沿うものであり、 株主共同の利益を損なうものでないとともに、役員の地位の維持を目的とする ものでないと判断いたしております。」(2012年3月期 事業報告より抜粋)

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