日清紡、買収した企業が足を引っ張る

「買収した企業が足を引っ張っている」。日清紡ホールディングスの村上雅洋取締役は表情を曇らせる。2011年に欧州のブレーキ摩擦材メーカーを買収したが、現地の景気冷え込みで販売が落ち込んでいる。
(日本経済新聞2013年2月8日14ページ)

【CFOならこう読む】

「足元の円安で現地企業ののれん償却負担が円安ベースで膨らみ、ダブルパンチに苦しんでいる。」
(前掲紙)

2011年に買収した会社は、ブレーキ摩擦材メーカー TMD Friction Group S.A. です(100%株式買収)。この買収に伴い、取得原価の内9,352百万円(92,869千ユーロ)をノウハウ等の無形固定資産に、同じく23,056百万円(228,938千ユーロ)をのれんに、それぞれ計上しています。

日清紡はのれんを5年で償却しているようで、年間46,000千ユーロ程度の償却負担が見込まれます。買収時の円ユーロレートは1ユーロ約100円、これが現在は円安により125円になっており、円換算ベースの償却負担はその分膨らむことになります(在外連結子会社等の資産及び負債は決算日の直物為替相場により円貨に換算し、収益及び費用は期中 平均相場により円貨に換算しています)。

円安で万事OKとはなりませぬ。

【リンク】

2013年2月7日「業績予想の修正に関するお知らせ」日清紡ホールディングス株式会社 [PDF]