ROE、世界標準は20%以上

金融緩和への期待から2012年度は大幅な株高で終わった。中期的に株式相場が上昇していくためには、企業が自らの変身を市場に示すことも不可欠だ。自己資本利益率(ROE)の改善という課題を達成することが有効な策となる。
(日本経済新聞2013年4月3日13ページ)

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「「ROEの低さが日本の上場企業の構造的な弱み」と長年指摘されてきた。全体としては確かにそうだ。各国を代表する株価指数の採用企業を対象にすると、日本のROEは6%程度だが、米英はともに28%、世界平均は22%よりも格段に高い」(前掲紙)

ROEの話になると、安直なリストラにつながるというような批判的な声が聞かれますが、これは間違いです。

一定成長配当割引モデルを前提にすると、株価は配当成長率によって決まります。配当成長率を説明するための代表的な考え方として、内部成長率(サステイナブル成長率)があります。これは、企業が増資なしに達成出来る1株当たり利益及び配当の成長率のことで、

サステイナブル成長率=ROE×(1-配当性向)

と表すことができます。この式は、企業の利益の増加額は、内部留保された利益がROEによって生み出された額になることから求められます。

つまりROEを経営指標にする場合には、その改善が長期的な成長率の上昇につながらなければ意味がないと考えるべきなのです。

「ROE向上に必要とされるのは、新製品の開発や製造過程の見直し、市場開拓といった経営のイノベーション」(前掲紙、渡辺茂立教大学教授)

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