解雇ルールのポイント

第2次安倍晋三政権の下で解雇ルールの見直し論議が再燃している。主たる争点は、ルールの明確化と金銭解決の導入の可否だ。
(日本経済新聞2013年4月9日26ページ 経済教室 神戸大学教授大内伸哉氏)

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「現在の解雇ルールのポイントは、(1)企業に対して事前に就業規則に解雇事由を記載することを義務づける(労働基準法89条3号)(2)就業規則で定める解雇事由に基づく解雇であっても、客観的合理的理由があり、社会通念上相当と是認されなければ、権利濫用(らんよう)として無効とする(労働契約法16条)――というものだ。」(前掲稿)

大内教授は、企業が労働者の能力の欠如や経営上の必要性によることなどを理由とする解雇について、企業の判断を尊重すべきとし、金銭解決によるのが適切であるとしています。

「金銭解決の構想は、(1)解雇は不当だが、使用者が金銭補償をすれば雇用の解消が可能となるタイプ(2)使用者が金銭補償をすれば、解雇を有効とするというタイプ――の2つに大別できる。前者が不当解雇に対する制裁面、後者は解雇の要件面で金銭要素を採り入れるものだ。」(前掲稿)

いずれを採用するかが実は非常に重要であると思います。

金銭交渉は、今外資系企業で行われているように、使用者と労働者の交渉により決着することになります。

一般に弱い立場にある労働者が使用者と対等に交渉するには武器が必要です。そのために、解雇は不当であるという前提は必須であると私は思います。

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