「経済危機対策」における 税制上の措置

経済関連の重要法が19日、相次いで成立した。税制改正では個人が住宅を買ったときなどに贈与税を減税するほか、企業の研究開発の税負担を軽くする。国民年金法の改正では、基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる。地方の中堅・中小企業の再生を支援する機構を発足させるための企業再生支援機構法は、技術力がありながら多額の負債を抱える企業を支援する。法改正で個人の暮らしや企業経営を下支えし、景気を後押しする。
NIKKEI NET2009年6月20日

昨日成立した税制改正の概要は次の通りです。

法人向けの目玉は研究開発 日本経済新聞2009年6月20日 5面より

法人向け減税の目玉は、研究開発減税 日本経済新聞2009年6月20日 5面より

【CFOならこう読む】

現行税制(試験研究費の総額に係る税額控除制度)は次のようになっています。

1.制度の概要
「試験研究費の総額に係る税額控除制度」は、その事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。

2.試験研究費の額
この制度の対象となる試験研究費の額とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額をいいます。ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額が試験研究費の額となります。

3.税額控除限度額
この制度による税額控除限度額は、その事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額に、次の(1)の税額控除割合を乗じて計算した金額です。
なお、平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度(設立事業年度を除きます。以下「適用年度」といいます。)において、その法人の損金の額に算入される試験研究費の額が、次の(2)の比較試験研究費の額を超え、かつ、次の(3)の基準試験研究費の額を超える場合には、試験研究費の額に税額控除割合を乗じた金額と、試験研究費の額から比較試験研究費の額を控除した残額に5%を乗じた金額との合計額が税額控除限度額となります。
ただし、税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合は、その20%相当額を限度とします。

(1)税額控除割合
税額控除割合は、10%です。ただし、試験研究費割合が10%未満である場合は次の算式によって計算した割合です。
(算式)
(試験研究費割合×0.2)+8%

(注)
1 税額控除割合に小数点以下3位未満の端数(%表示にあっては、小数点以下1位未満の端数)があるときは、これを切り捨てます。
2 試験研究費割合は、次の算式によって計算した割合です。
(算式)
試験研究費割合
=その事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額
÷その事業年度及びその事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度の平均売上金額

(2)比較試験研究費の額
比較試験研究費の額とは、適用年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額を平均した額をいいます。

(3)基準試験研究費の額
基準試験研究費の額とは、適用年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額のうち最も多い額をいいます。

4.繰越税額控除限度超過額の繰越税額控除
この制度による税額控除の適用を受ける場合において、税額控除限度額が法人税額の20%相当額を超えるため税額控除限度額の全部を控除しきれなかったときには、その控除しきれなかった金額については、一定の要件の下に1年間の繰越しが認められます。
国税庁 タックスアンサー

昨日成立した税制改正により、3の税額控除限度額を平成21年度及び平成22年度について時限的に20%から30%に引き上げることと、4の繰越税額控除を平成21・22年度発生分については、平成24年度までの法人税額から控除が可能となることが決定しています。

「経済危機対策」における税制上の措置 より

「経済危機対策」における税制上の措置 より

後者については、新聞では「繰越期間を最長3年に延長」と書かれていて、平成22年度発生分について平成25年度まで控除可能であるように読めますが、平成24年度までですので、ご留意下さい。

【リンク】

「経済危機対策」における税制上の措置[PDF]