ニコン円安効果により、営業益67%増

ニコンは9日、2014年3月期の営業利益が前期比67%増の850億円になりそうだと発表した。急速な円安を追い風に大幅増益となる。
(日本経済新聞2013年5月10日15ページ)

【CFOならこう読む】

「今期の想定為替レートは1ドル=95円、1ユーロ=125円と、それぞれ前期より12円、18円円安の水準とした。同社の売上は8割以上が海外で、為替変動が収益を大きく左右する。今期は円安効果だけで営業利益を330億円押し上げ、営業増益幅のほとんどを占める計算になる。
(中略)
円安効果によって全体の売上高は1070億円増える見通しで、為替の影響を除けば売上高は微減となる。」(前掲紙)

円安効果といったときに、外貨ベースの商品価格低下による輸出量の増加の効果と、海外子会社のPLを日本本社が連結する際の換算の効果を分けて考える必要があります。

ニコンの場合の円安効果は後者によるものです。海外子会社が従来稼得していた1ドルの営業利益を80円で評価していたのが、円安により100円で評価することになって円ベースで評価すると営業利益が増えますというだけのことで、この利益が現地で再投資されている限りにおいては、実質を伴うものではありません。

大企業の多くが生産・販売拠点を国外にシフトしている現状では、実質的な意味で円安効果がどの程度のものであるのかをしっかり見極める必要があると思います。

【リンク】

なし