スピンオフー課税上の問題

ソニー株式を約6%保有するという米投資ファンドが、ソニー経営陣に対し、ある提案を行っている。音楽や映画などのエンターテインメント部門を上場せよという内容だ。
(日本経済新聞2013年6月12日17ページ大機小機 )

【CFOならこう読む】

「あまり知られていないが、実は米国でも子会社上場はある。日本と異なるのはその位置付けだ。親会社がかなりの株式を持ち続けるケースが多い日本に対し、米国では完全独立への過渡的な動きと考えられる。」(前掲紙)

典型的には、子会社株式を親会社の株主に分配するいわゆるスピンオフにより子会社を上場する手法がとられます。

ところがこれを日本で行うと(100%子会社を除き)、法人レベルでは譲渡損益課税、株主レベルではみなし配当課税等が生じてしまうので、簡単には実行できないのです。

平成13年に企業組織再編税制が導入された当初から、この問題が指摘されていましたが、例えば経団連の担当者は、実業界にニーズがない、と言い放って問題を先送りし、今に至るまで手当てがなされていません。

いや、むしろ今ソニーが直面しているような問題が起きることを危惧し、課税が生じることを理由にスピンオフを実行不能とするために敢えてスピンオフ実行時の課税繰延規定を入れていないのでは、などとうがった見方をしてしまいたくなります。

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