川崎重工、三井造船との交渉白紙に

川崎重工業は13日、臨時取締役会を開いて長谷川聡社長(65)を解任し、三井造船との経営統合交渉の打ち切りを決めたと発表した。同日付で社長に村山滋常務(63)が昇格した。26日の株主総会を直前にした異例のトップ解任について、記者会見した村山氏は「取締役会を軽視する行動があり、これ以上、業務執行体制の中核を担わせることはできない」と説明した。
(日本経済新聞2013年6月14日1ページ )

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「村山新社長は「経営統合ありきの姿勢にあることに強い不満感、不信感を覚えた」と話した。具体的には、統合交渉に関する社内会議の議事内容を操作するなど反対意見を無視する行動があったという。全員が出席した臨時取締役会では3人を除く全員が解任動議に賛成した。」(前掲紙)

経営統合に前向きな3人のトップを、後ろ向きなその他の10人が解任し、定時株主総会の取締役選任議案からもトップ3人を排除する形に昨日修正をしています。

経営統合の可能性を模索している段階で、徹底的に議論することもなくトップ3人を解任したということであれば、それは何のための造反劇か。株主や国富の視点があるのか。

経営陣の保身ととられても仕方ないのではないか。

「13日の記者会見で「デューデリをせずに(融合効果)が出ないと判断できた理由は何か」と問われた松岡京平副社長は「我々はプロであり(外部の)専門家よりも評価できる。」(日本経済新聞2013年6月14日3ページ)

この松岡副社長のお言葉は、日本のM&A史上燦然と輝く迷言となる予感。

【リンク】

2013年6月13日「「第190 期定時株主総会招集ご通知」の一部修正について」川崎重工株式会社 [PDF]