アデランス、株主の議決権行使結果を開示

買収防衛策の廃止をきめたアデランスホールディングス。経営陣の交代など一連の流れを方向づけたのは5月の株主総会だった。投資ファンド(米スティール・パートナーズ)と会社側(ユニゾン・キャピタル)の対決がクローズアップされた総会だが、取締役候補者に対する賛否の結果を開示したほか、株主が取締役候補一人ひとりを吟味して投票するという新たな動きも見え始めた。
(日経ヴェリタス2009年6月21日15面)

【CFOならこう読む】

「「長田志織氏37.45%、木曽健一氏37.50%••••」。11日にアデランスが発表した「定時株主総会の最終決議結果について」と題した資料が上場企業の総会担当者の間で話題になった。取締役候補者ごとの株主の賛成比率を明らかにすること自体がまず異例だからだ。議決権行使結果の開示は、英国などでは義務化されており欧州連合(EU)でも法制化の動きがある。「海外では否決に至らなくても、反対票が多かった役員は、総会後に辞任するケースがある」(ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパンの小口俊朗社長)という。日本で開示しているのはソニーなど一部。金融庁や東京証券取引所が制度化に動き出したばかりだ。」(前掲紙)

各議案の賛成比率は次の通りです。

日経ヴェリタス2009年6月21日15面

日経ヴェリタス2009年6月21日15面より

議決権行使結果の開示は義務化すべきでしょう。単に賛成か反対かだけでない株主の意思を会社に伝えることができるからです。

アデランスの場合は、会社側提案が全て否定されたわけでなく、ユニゾンが送り込もうとした候補者の賛成比率が非常に低く、ユニゾンとの提携が否認されたことがわかります。

こういう情報は思っている以上にガバナンス効果を生む可能性があります。

たとえばCFOである貴方だけ、他の取締役候補と比べ賛成比率が低かったら、それは”財務戦略に問題あり”という株主のメッセージとして受け取るべきかも知れません。

いずれにしても、日本的なシャンシャン総会はだんだんと通用しなくなってくるのでしょう。

【リンク】

2009年6月11日「当社第40回定期株主総会の最終決議結果について」株式会社アデランスホールディングス