日本証券業協会、大規模増資なら株主総会決議

日本証券業協会は19日、公募増資制度の改革に向けた提言を公表した。情報開示の徹底を促すとともに、既存株主の利益を損なう可能性のある大型増資には「発行企業に対して株主総会での決議を義務付けることも考えられる」などと明記。経団連や金融庁、日本取引所グループにも実現を働きかける。大幅な株価下落や不公正取引が発生しにくい市場を目指す。
(日本経済新聞2013年6月20日15ページ )

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「報告書は日本の公募増資制度について「株主の理解を得るための方策や投資家への情報開示の促進を検討すべきだ」と強調。1株利益の希薄化率が2割を超すような大規模増資を念頭に、株主総会などで株主の賛同を得ることが必要だとした。」(前掲紙)

報告書のこの部分の提言は次の通りです。


■前述の、大規模な希釈化を伴う公募増資が既存株主の権利を著しく損なってきたと の見方に対しては、論点として、例えば、一定の割合を超える希釈化を伴う公募増 資を実施する場合には、発行企業に対して株主総会決議を義務付けることも考えら れる。
■米国においては、株主総会決議要件は現金を対価とした公募増資には課されてい ないことから、この施策を実施した場合、我が国だけ規制上の制約が課されることと なる。しかしながら、後述((1)5)の事実関係とおり、日米間には市場を取り巻く環 境に相違がある可能性があることから、我が国における株主の理解を得るための 方策については柔軟に考えていくことが適当である。
■なお、英国においては、株主割当増資(ライツ・オファリング)以外の方法によりエク イティ調達を行おうとする場合、発行株式数等の条件に応じて株主総会決議が必要 となるが、英国では企業の主なエクイティ調達の手段としてライツ・オファリングが確 立しているのに対し、我が国でライツ・オファリングは未だ主要な資金調達手段とは なっていない状況である。こうした状況の差異を踏まえると、英国のみを参考として 我が国の公募増資に株主総会決議要件を設けていくことについては、慎重に考え ていく必要がある。」http://www.jsda.or.jp/katsudou/kaigi/senryaku/files/130619houkokusyo.pdf

少数株主保護の観点から、TOB規制と絡めて議論を整理することも必要であると思います。

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